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『きもちいい は うつくしい』出版記念白熱トーク ”tamaki niimeってなんだろう?” 〈前編〉
『きもちいい は うつくしい』出版記念白熱トーク ”tamaki niimeってなんだろう?” 〈前編〉

2026 . 03 . 03
年末の一日。新雌邸にて、12月23日の一般発売に先駆けて、記念すべき玉木新雌初の著書『きもちいい は うつくしい』〈幻冬舎〉の先行発売と本をめぐってのトークイベントが開催された。
メインの語り手は著者である玉木本人と編集に携わった私・越川。
ゆったり広やかなお座敷に置かれた座卓をぐるりと囲んでのざっくばらんなお話会。3年越し、産みの苦しみも経て誕生した”niime本“の制作過程を明らかにしたエピソードの数々。トークは参加者も巻き込んで、「tamaki niimeとは何なのか?」を各々が口々に語り合う、白熱の展開となった。
藤本「tamaki niime代表・玉木の著書『きもちいい は うつくしい』が完成しまして、そのお披露目会にお越しくださってありがとうございます。今日はですね、皆さんとトークしながら、この書籍についての想いであるとか、tamaki niimeの取り組み、今の現在地みたいなところで、お話ししていけたらなと思っているんですけれども、前の二人がトークのメインスピーカーなんですけど、先に、帽子の男性の方がですね、越川さんです。」
越川「西脇市のまちなかで『へそまち文庫』という本屋さんと、『ヘソノオ・パブッシング』っていうひとり出版社を西脇・多可を拠点にやっています。越川といいます。よろしくお願いします。」
藤本「越川さんはこの書籍の企画から色々と入っていただいて、着地まで関わってくださったということもあるので、今日は越川さんには同席して話をしていただきたいと思います。その隣がですね、玉木代表になります。」
玉木「代表の玉木です。よろしくお願いします。」
藤本「ちょっと堅苦しいごあいさつにはなっているんですけど(笑)、代表が2009年に西脇に来て、そこから2025年で16年たっていまして、2026年が有限会社設立から数えるとちょうど20周年になる節目の中で、20年の歩みを振り返る、これから先のヴィジョン伝えていける書籍としてまとめたのが、今回の『きもちいい は うつくしい』になっております。皆さんの目の前に一冊ずつあると思いますので、ぜひ実際に本を手に取っていただきながら、お話ができたらな、と考えています。早速、スタートしていきましょうか。」
越川「はい。なんか壇があってこちらが一方的にしゃべるみたいな形式よりも、平たく、もうざっくばらんに、皆さんと一緒になって、本のページをめくっていただきながら、今回の本とかtamaki niimeについて、いろんなお話が出来たらなと。もう途中発言も全然オッケーで、皆さんのお声も聞きながら出来たらという話を先日、打ち合わせでしたところなんです。」
玉木「はい。どうなんでしょう?大森さんもう読んだ、これ?」
大森「読みましたよ!もちろん。」
玉木「じゃ、感想を。」
大森「僕からですか?」
玉木「どんな感覚だったかなと思って。色々と制作に絡んでもらってるじゃないですか。そもそもスタートから。」
大森「そうですね…4、5年前から、アドバイザーっていったら、すごく偉そうなんですけど、僕も西脇市出身なので、なんとかこのtamaki niimeという企業を…私は東京でちょっと図体のデカい会社にいるんですけれども。」
越川「某大手広告代理店で要職に就かれています。」
大森「はい、言うたら、資本主義のアクセルを踏みまくっている図体のでかい会社にいる一方で、自分の故郷は、どんどん人が減っていって、寂しくなっている中でね、ほぼ同級生である玉木さんは、もう僕が西脇を後にして、東京に出るのと入れ替わりに福井から来てくれて、頑張ってくださっていると。もうこれは応援する以外にないだろうっていうことで、応援してきたんですけども。」
越川「はい。」
大森「ここに書かれていることは、もちろんtamaki niimeの全てではないし、言葉にすればするほど、本質から遠ざかるというわけではないんだけども、いやいや玉木さん、こんなもんじゃないでしょうっていうのが、僕の率直な感想ではありますね。ただ、これを読んでくださった方には、必ず玉木さんの、tamaki niimeという会社の、企業の、ブランドの入り口には立てる。玄関の扉は開けられるなとは思います。ただ、その玄関の中まで入って、奥の方の部屋まで入って、二階まで上がっていくというところまでは、なかなか……やっぱり本当の玉木さんというのは、言葉では表現できないんだろうなっていうのが、僕が思った感想です。」
玉木「うん。」
大森「間違えてはいないし、絶対に素晴らしい本のはずなんですけれども。この本の中でいろいろ書いてはありますが、もう一言で言うと…」
玉木「一言で言うと!まとめて!(笑)」
大森「(笑)。エラそうに言うわけじゃなく、もうね、”ワクワク”なんですよ。玉木新雌さんという方は。」
玉木「なるほど。」
大森「最初から最後まで読んでみて、一番キーワードとして使われている言葉は、”ワクワク”なんですよね。僕はこの方はもう一言で言うと、”ワクワク”の方だと思うんですよ。書いてある内容は、頭で考えるよりも、体を先に動かそうということなんですけども、「体」か「頭」かじゃないんです。この方は「心」の方なんです。」
玉木「ふぅう~ん。。」
大森「「心」ってどこにあるかわからないんじゃないですか。一応科学的には、身体の中の頭のほう、脳波のネットワークとか、いろいろ言われてはいるんですけども、その頭の方にあるのか身体の下の方にあるのかも分からない、そんな心の場所にいらっしゃる方なので、頭で先に考えて体を動かすか、体を先に動かしながら頭で考えるか、じゃないんですよね。だから言葉に出来ない。」
玉木「確かにね。出来ない。」
大森「ワクワクとドキドキっていうことはセットなんですけど、ドキドキって言ったら心臓のことなんですよね。でも、ワクワクってどっちなの?っていう。ワクワクっていう、どこにあるかは分からない、この「心」のことを常にお話しされてるなっていう、そこはすごく、本を読んで残りました。すごくヘンな難しいことを言っちゃいましたけど。」
玉木「いやわかる。言ってることはめちゃくちゃわかるよね?」
越川「なるほど、「心」ですね。」
大森「ワクワクって言葉を多用する「心」の方。」
参加者「今の話を本の帯にしたほうがよさそうですね。」
玉木「ほんとそうね、今から帯つくろうか?」
越川「tamaki niimeの本を創るっていうことで、私は途中から絡んだんですけど、最初は出版社さんで玉木さんの本の企画が進んでるんだ、と藤本さんからもお話を聞いてて。やっぱり幻冬舎さんというのは本当すごい大きな出版社さんで、ビジネス書に関しては、もう突出した存在っていう印象があって、だから、ビジネス書というフォーマットありきでっていうのは、本の常識を疑わず、そのまま捉えてましたし、ライターさんが来られて取材もされて、玉木さん周辺の人間の取材ってことで私のところにも来られたんですよ。そこは正統的にきちんと取材をされてましたし、確かなライターさんだと思ってインタビューにも答えさせて頂いて……叩き台の文章が上がってきたのは何年前でしたっけ?」
藤本「あれが2022年から立ち上がって、この年に取材してもらっているので、約3年前ぐらいになるかなと思います。」
越川「玉木さんへの数回のインタビュー取材や、周辺取材でまとめられているんですけど、あくまでまだ叩き台だなっていう部分は感じて、ここから練り上げられていくんだろうなっていう道筋は見えたんですが、tamaki niimeというブランドを……私も不定期ではあるんですが、長年「niime百科」っていうウェブの連載をずっと6年半ぐらい担当させて頂いていて、その都度、玉木さんやスタッフの方の取材インタビューをして、それを文字にして、まとめるような仕事をさせて頂いてるんですが、、先ほどの大森さんのお話もありましたけど、この掴みどころの無さっていうか、日々日々”新化“していくっていうこのブランドで、それをこう数回の取材で切り取って、っていう進め方には、やはり難しさ、無理があるのかなっていうのが、率直な感想で。」
玉木「なんで他の人では無理がないのに、ウチの会社だと無理なの?」
越川「う~ん、、表面上のところまでしか捕まえきれないというか……先ほどのお話じゃないですが、表玄関から奥まで行くっていうところまで至るって、なかなかな…。」
玉木「確かにね。」
越川「でも、感じ取れる人はスパッ!とね。感覚的に掴めるところもあると思うんです。」
玉木「感覚的にね。いいなと思ってくれる人はいるけど、そこを言語化ってムズイ。」
越川「言語化するために玉木さん、ずっと格闘されている部分もあるんだけど、さっきの大森さんの、心で捉えられているっていうお話は、面白くて。素晴らしいな、素敵だなと思いました。僕が思うのは、やっぱり玉木さんて、無茶苦茶頭の回転が早くて言語化が追いつかない部分があるのではと。あと、頭の中のこう、混沌としているカオスなところを大事にされてるように思えるから、それを言葉にした時に、非常につまらなくなっちゃうと感じてしまうのでは、と。玉木さんの思考や感覚を逐一言語化するとしたら、もうものすごい文才がないと……」
玉木「ムズイよね。」
越川「そういう天才的な作家さんぐらいな能力がないと、難しいかなみたいな。でもそれはなんてゆうか…”文学“になっちゃうっていうかね。」
大森「そうですね、文学ですね。」
越川「説明的な文章じゃなくて。ごめんなさい、延々喋ってますけど、だから、ビジネス本を作るっていうところで、なかなか難しいな……ライターさんもすごい頑張ってらっしゃるとは思うんだけど、っていう印象があって。しばらく進行が止まってた時期もありましたかね。」
藤本「そうですね、立ち上げの頃から、私は担当というか、窓口で関わらせていただいていて、実際にライターさんと折衝しながら、西脇におられる関係者の方々への取材のアポイントを取ったりとかっていう形で、初年度はやっていまして、順調にいけば一年ぐらいで書籍化できるかなっていうようなところで、最初動いてたんですけれども、やっぱり文字起こしをしていく過程で、今、ここで話が出ているような内容で、ブランドの本当にやっていきたいこととか、代表の想いみたいなところが、なかなか、こう、文字に起こしきれなかったっていうのが、最初で最大のハードルって言ってたらあれなんですけど、どうやってこの会社のことを一冊にまとめたらいいんだろう?っていうのが、すごく難しくなってきた時期が最初の年でした。」
越川「藤本さんも悩んで。」
藤本「決して間違ったことは言ってないんだけど、でも、その言い回しは玉木新雌はしないだろうなっていうようなこととか、このブランドの代表である玉木の著書という形でまとめていく以上、やっぱりそこの細部まで、きちんと責任を持ったものを世の中に出したいという玉木の想いもあって。最初の校正が出てきて、文章化したものが上がってきたんですけど、どうやって着地を見い出したらいいんだろうっていうような話にやっぱり会社としてなってきたので、これは煮詰まって来たなというところで、ちょっと一回…」
玉木「白紙になったね、一回。構想一年かけたんですけど。」
藤本「そうですね、2023年~2024年ぐらいの、一年半から二年ぐらい…」
玉木「そもそも言語化できるのか?ってゆうのがあったよね。無理ちゃう?ってゆう。」
藤本「すごくだから悩みましたね。めちゃくちゃ胃が痛かった二年間でしたね。」
玉木「(笑)間に入ってね……既存の方法論は嫌いなんよね。この世の中の、もう既にできているものに対して、すべてアンチテーゼがあるから。その枠にはめられているという感覚になった瞬間に出たくなるという、檻に入れられた動物みたいな感じなんですよ。こう、世の中のこういうルールで、ここにはめ込んだら綺麗に見えるよね、みたいなところに、押し込まれる!っていう状況になると、すごいバタバタと逃げるような(笑)、それで大体事件が起こるんですけど(笑)。」
越川「事件が…(苦笑)。」
玉木「もう他がやっていてそこに全然ワクワクがないと、あ、いいですってなっちゃうんだけど、そういうのに近かったのかもしれない。ビジネス書を作るということが、いわゆるビジネスあるあるの、ノウハウ本みたいな感じで落ち着けようとされても、いや、私ならこれ読んで全然何か試そうとは思わへんわ、みたいな内容になっちゃったので……結局、やり直したときに、越川さんと私がディスカッションしたのは、既存のじゃないやり方にしようと。」
越川「そうですね。大森さんにも本当お忙しい中で、まとめ方のサジェスチョンであるとか、すごくご協力いただいてたんですよね。」
玉木「はい。」
越川「つい、僕、やりますって手を上げてしまったんです。基本、既存のことをやるのってつまんないって想いが、玉木さんにあるじゃないですか。僕なりにそれを踏まえてはいたつもりだったんですけど、振り返るにやっぱり、ビジネス本的なフォーマットありきってのは、縛りになってたんだろうなと。玉木さんの言葉遣いについては、もう身に染みて知ってるつもりなので、長年tamaki niimeのウェブで『niime百科』を担当してますから、もう無茶苦茶玉木さんの言葉を浴びているわけですよ。あの玉木さんの”タマキ語“に翻訳するのは可能かなと思ってはいたんですよね。だから、大森さんからいただいた、遊び心だったりのエッセンスや、tamaki niimeのもっと本質的なところを入れ込みながら、やっぱり企業データ的な部分も加えて…ってなった時に、結構大変だなと思いつつ、とりあえず構成も考えて章立てして、企画書を書きまして、こんな感じでと提出して、それはOKいただいたんです。で、それこそとりあえず叩き台が要るなと思って、何ページかつくって藤本さんと玉木さんに見てもらった時に、もうダメ出しで(苦笑)。」
玉木「なんかダメ出したな(笑)。」
越川「これ、私の言葉じゃない!っていうのを先ず言われて。どうしようかな。。みたいな感じで、玉木さんからは『niime百科』を本にすればいいんじゃないっ?ていうことも提案されたんですよね。」
玉木「そう。元々、tamaki niimeを知るには『niime百科』を読んでもらえばいいから、本にしなくてもいいぐらいだと思ってたんですけど、『niime百科』が百話超えになって。」
越川「連載が百二十回に近づいてきてて、もう”百“科じゃないという(笑)。」
玉木「さすがに量が多すぎて、『新入社員の人はちゃんと読んで来てください』とか言いにくくなってきて。ちょっとそれを要約した、まとめたものがあったら、これ読んでから出社してくださいというふうに言えるなぁと思って。そういうのができたらいいな、と。」
越川「そうですね。最初のタイトル案は『一点モノ量産主義』ってなってたんですよ。」
玉木「はい。」
越川「それはtamaki niimeというブランドの一部を表しているぐらいな感じでしたけど、ビジネス面に特化して、分かりやすいワードでってなった時に、少しひねりもあっていいかなと、それを踏襲してと考えて、まとめようとしたんですけど、ダメで。だから御破算!(笑)。ゼロベースですね。もう、やり直しみたいな。」
玉木「やり直し!」
越川「そうなった時に、玉木さんがね、信州の、日めくりの……」
玉木「『わざわざ(※)』さんのカレンダーだ!」
(※)長野県東御市御牧原の山の上にあるパンと日用品を販売するお店。公共交通機関がなく車でしか行けない、こんな山の上までわざわざ来てくださってありがとうございますの感謝の気持ちを店名に込めてある。
越川「それが藤本さんを介して、僕に渡ってきたんですよね。それで、参考にというか、こんな感じでと。」
玉木「写真がほとんどで、下に、短い言葉が付いてるんですね。」
越川「そう。それが一対で、一日のページになっているんですね。」
玉木「日めくりで、その日その日、何かしらの言葉が書いてあるという。こんな感じでいんじゃない?って言ったんですよね。」
越川「そうですね、はい。それで、あ、だったらもう写真はたくさん、橋本さんとか、いろんなカメラマンの方が綺麗に撮られたものがアーカイブとしてあるし。玉木さんの語録をピックアップして構成する、もうこれだな、これしかないかなと思いつつ、正直僕はあまり気が進まなかった部分もあったんです。っていうか、戸惑いもあったんですね。とりあえずやってみようと思って、『niime百科』の文章っていうのは、もうストックがいっぱいあるんですよ。ウェブで全部バックナンバー残ってますから、またご覧いただければと思うんですけど、基本、玉木さんっていうのは、自分からは言葉を発さない方なんですね。」
玉木「はい。」
越川「だから、僕が問いかけたり、合の手を入れたり、あと酒井さんと一緒にやり取りしたのは多いんですけど、玉木さん単独のはあんまりないんで、どうかな……と思いつつ、再構成をちょっと試しにやろうとしてやってみて。玉木さんの言葉自体は、素敵な言葉がたくさんあるんですよ。本当素晴らしい語録がいっぱいあるんだけど、それのみで日めくりみたいに成り立たせるよりは、もうちょっと文章をしっかり入れ込みたいというのがあって、試しに玉木さんの言葉をピックアップして、繋いでみたところ……俺、感動して。」
玉木「いけるやん!ってなってんね?」
越川「これはいける!!と思って、切れ切れの言葉を繋いでいっても、すごく文章として成立してて、力強いしシンプルだし、ストレートだし、あ、これは響くわ、と思ったんですよ。だから、それをまた玉木さんにプレゼンじゃないけど、10ページぐらい創ってみたんです。これでどうかなと思って。そうそう、玉木さんと話をした時に、うちのスタッフもそうだけど、文章読まないからって(笑)。」
玉木「私が読まないからね。」
越川「だから長いのダメみたいな。」
玉木「もう本当は、もっと少なくてよかったんですよね。1/5ぐらい減らしてくださいって越川さんに頼んでて。なるべく少なくしてって言ってたのにめっちゃ文章増えてるやんってなって。」
越川「そうなんですけど、そこは粘って、これは入れさせてください、これ入れないとダメだから、と。」
玉木「(写真が添えてあって文字数が少ないページを開いて見せながら)これぐらいがせいぜい読める文字やから、これぐらいにしてと頼んだんですよね。」
越川「なんですけどね。でもね、あ、このページ、最初のプレゼンのまんまなんです。そのまんま。」
玉木「そういう意味では、この「niime百科」をやり始めて何年経つんですか?6年、7年ぐらい?」
越川「そうですね。6、7年間ぐらいですね。」
玉木「その時その時に喋ってるものなので、今回録り直したとか、そういうことはないよね。」
越川「それはないです。」
玉木「それが全部つながって。まさにその時々の想いをそのまま使ってます。」
越川「若干微調整はしてますけどね。情報的に食い違いがあったら、まずいので。」
玉木「ちなみに私が撮った写真はこちら(ヤギの赤ちゃんと母親が睦まじい写真を見せる)。いいでしょう?この感じ、超オススメです。(ページをめくって)これも私がカメラ買った時の写真やで。スタッフの親子を撮ったんですけど、今のlabに来てすぐくらいの、子供が親の背中を見て育ったらいいなと思う写真なんですよ。いいでしょう。さっきこの子ここに寄ってくれてましたけど、お父さんと同じ身長になってましたね。」
越川「野球少年ですよね。」
玉木「野球少年!そう。だから、けっこう時代の流れを感じる。いろんな写真も入っているしで。」
越川「ちょっと話が逸れますけど、僕が繋がりのあるトゥーヴァージンズという出版社の編集長さんが、横尾忠則さんの本を数冊手掛けていらっしゃって、今、おそらく出版業界で横尾さんの信頼が一番厚い方なんですけど、東京へ行った時に、横尾さんの大型画集を創りたいってことで、表紙デザインは横尾さんで、金の箔押しで、黒一色の生地でやりたいんですけど、みたいな話を聞いてて、生地をどこに頼むか決まってなくて、雑談してるうちに、越川さん播州織でやりましょうよ、って話になって、それは面白いですねと、玉木さんにお願いしたんですよ。」
玉木「生地をね。」
大森「11万円の画集でしたね。」
玉木「税込11万円で、限定300部だけなんです。」
藤本「よかったら中を開いてご覧ください。」
越川「本当に横尾さんも喜んでくださって、表紙のtamaki niimeデザインの柄は一点モノなんです。」
玉木「ラインが入っているのが、みんな全部違うように。よかったら、後であちらに置いてきますので、見てください。」
越川「なんでこのような話になったかというと、横尾さんっていえば、西脇発祥のY字路シリーズ作品なんですけど、このY字路の本二冊を、横尾さんの誕生日に合わせて、トゥーヴァージンズさんが出されてまして(『僕のY字路』と『僕とY字路』を手に取って見せる)。これがむっちゃもう遊んでるっていうか。」
玉木「見せ方というかね。」
越川「そうです。普通、こんなページの際際に文章を寄せないし、同じ絵が繰り返し何回も出てくるし。」
玉木「しつこいよね(笑)。これを見て、こんなんもアリやな、ってなってんね。」
越川「そう、もうなんか、遊んだらいいんじゃないの、と。」
玉木「遊んだ方がいいよねってなって。ビジネス書に引っ張られんとこ、ってなって。」
越川「玉木さんと二人でしゃべってるうちに、もう、なんていうかな…もうキッチリキッチリ作り込むんじゃなくて、」
玉木「ザクッと。」
越川「ザクっとでいいんじゃない?みたいな話になって。」
玉木「それがワクワクってこと。」
越川「そうそうそう。だから、tamaki niimeはここだと。玉木さんの言葉を見開きで見せたいと思った時に、文字数がバラバラじゃないですか、だったら、もうレイアウトも遊んでまおうと思って。玉木さんの言葉をこう、絵を描くような心持ちで見開きでレイアウトしようと。もう見出しとかキャッチコピーも横だったり縦だったり、何でもアリっていうか、その文章の性格に合わせて、絵を描くような感じでやりたいなと思ってやりました、はい。だからもう本文デザイン好き勝手させていただいたという。」
玉木「よかった。これで出版社さんからOK出るのか、ドキドキしてたんですけど。」
越川「出るんかい??って思てましたけど。」
玉木「多少の修正はありましたけど、全然大丈夫で、よかったと思って。きもちいい本ができて嬉しく思っています。」
越川「はい。」
玉木「ぜひ皆さんも読んでいただきたい。先ほど私も確かに、と思ったのは、この本を読んで、西脇市をよくしたいって言われた方がいらっしゃって。娘にも読ませるって。だから、なんていうかな、どう生きるか?みたいなところを、今一度考えてもらうきっかけみたいな一冊にできたらいいんじゃないかなと。」
越川「『tamaki niimeいきるための7ヵ条』っていうのが巻頭カラーページの最初にあると思います。タイトルは、『きもちいい は うつくしい』にしましょうって提案して、7ヵ条を各章の柱にしてあるんですけど、それははっきりいって後付けなんですね。『niime百科』以外にも、今回語り下ろしていただいた言葉もあるんです。先ずそれの、tamaki niimeのエッセンスが捉えられているところを重視してピックアップして。ロジカルに展開考えてとかじゃなくて、言葉を、7ヵ条がある中の、だいたいここに当てはまるかな?みたいなところへ、玉木さんの好きなパズルみたいにね。」
玉木「うんうん、ほんとにそう。感覚的な。」
越川「完成形がわからないという感じでやったんです。組み上がるまでどうなるかわからなかったんだけど、玉木さんならではの言葉の力があるから、そこは大丈夫だろうと、自分の中で確信があったから。真ん中に『tamaki niime史』として、玉木さんの生い立ちからのストーリーを持ってきました。時系列的にはばらつきもあったりするんですけど、全体を通して言葉の緩やかな流れがあるように創ったつもりなんです。それはもう僕の感覚的なもので、はいtamaki niimeのモノづくり的な本づくりに、結果なりました。」
玉木「はい。もうだから、あまり説明しないで感覚的に読んで感じてもらいましょ。」
越川「そうですね、はい。長々と説明してしまい…。」
玉木「(笑)。はい。今後はね、私が語れない人なので、いろんな人にこれを読んでもらって、感覚を感じてもらえる人が増えたらいいなという想いで創らせてもらったんですけど、せっかく大森さんも来てるし、この地区の重鎮の人もいるし、西脇をこれからなんとかしたいと思ってる人たちも多いと思うし、日本をよくしていきたいと思う人たちなわけじゃないですか、皆さん。せっかくだから、いろんな話ができたらいいな。」
〈白熱のトーク、後編へとつづく〉
書き人越川誠司
Original Japanese text by Seiji Koshikawa.
English translation by Adam & Michiko Whipple.

